山に住むようになって随分経った。急峻な階段を登り、やっと辿り着く我が家からの眺めは悪くないが、さすがに堪える年齢になった。住み始めは、老後のための大腰筋鍛錬になると意気込んでいたものの、なかなか大変。とは言え、多くの日本の町には低い山が点在するから、ちょっと目線を上に向けると、住んでいるんだよね、山のあちこちに人は。自分が住むようになって、やたら上を見る癖がついた。「あんなとこ、どうやって木材運んだんだろう?」なんて、他人事ではなく気になる。山があるからには、そこには必ず崖がある。で、急斜面危険地域に指定され工事を行う段になると、何百年もそこにある景観の存続と安全性との間で私たちの心は揺れる。立派に生きている樹々をある日突然切り倒し、山肌が露わになった時には「これって正解なの?」と曇った気持ちになったけれど、昨日見たらこんな感じ。カーブの複雑な山肌に、彼らはこんな仕事をしていた。複雑な気持ちの中で、見ずにはいられない圧倒的なアートだった。
TAZZ
自然に対する畏敬の念を忘れずにいたいです。
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